YOKOHAMAダイバーシティパレードが秘める可能性とは?

パレード参加者は少なかったのか?

2016年10月15日(土)、横浜で初のプライドパレード”YOKOHAMAダイバーシティパレード2016”が開催されました。

プライドパレードとは?

2015年は横浜大さん橋国際客船ターミナルを会場に、2日間に渡る室内イベント”YOKOHAMAレインボーフェスタ2015”が開催されましたが、2016年はパレードという形で屋外に飛び出しました。

秋晴れの爽やかな空の下で開催されたパレードには、ざっと数えて300人強の参加者が歩きました。

フェスタ会場や沿道を含めて数万人規模が参加する「東京レインボープライド」や、アジア最大規模の「台北プライド(台湾同士遊行)」に比べると、人数的に少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、東京以外の地区で、かつ初めての開催ということを考えれば、この参加人数は決して少ないものではありません。

今や会場・沿道含めて6〜7万人が参加する東京のパレード(東京レインボープライド)にしても、別団体が1994年に初めて開催した「レズビアン・ゲイ・パレード」の参加者は1000人強でした。首都・東京ですら初めての時はこの程度の人数です。

東京以外での開催というならば、2013年に第16回目の開催で幕を閉じた札幌のパレード(レインボーマーチ札幌)と比較してみましょう。2006年の第10回でレインボーマーチ札幌史上最多の1200名が参加しましたが、1996年の第一回(名称:第1回レズ・ビ・ゲイ・プライドマーチ札幌)の参加者は200名でした。

参考資料:レインボーマーチ札幌ファイナル開催趣意書

初めてのパレードを開催するためには、参加する側や取材する側からは想像できないほどの様々な問題が生じ続けていたと思います。実行委員の皆さん、ボランティアの皆さんが最大の力を発揮しても、広報などの面に少々手が回らずイベント開催の認知度が低かったとしても、これは仕方のないことです。

今やアジア最大規模となった台北プライドだって、最初は1000人単位から始まったのですから、YOKOHAMAダイバーシティパレード2016の300人強という参加人数は決して少ないものではありません。

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秘めたる可能性とは?

そして、参加人数という面だけじゃなく、このパレードは可能性を秘めていると感じられる部分がありました。その可能性とは何なのか、ご紹介していきましょう。

①アクティビズムが前面に出ていないこと

もともとマイノリティの人権問題から始まったプライド・パレードは、社会に対しての訴えかけることを目的にしています。その訴えかける方法は様々で、言葉やプラカードで直接的にアピールするやり方もあれば、楽しく歩く姿を見せていくことで興味を引き間接的に訴えかける方法もあります。YOKOHAMAダイバーシティパレードが目指す方向は後者なんだろうと感じました。そして、このアクティビズムが前面に出ない訴えかけ方は、日本でも有数の観光地である横浜の街に合っていると感じました。

パレードのルートは、大さん橋→中華街→山下公園、と多くの観光客で賑わう場所を通っていきます。ここで直接的な言葉やプラカードを使ってアピールすると、場の雰囲気にそぐわないノイズになってしまうでしょう。

年齢も性別も見た目も様々な人が楽しそうに歩いていることで沿道の人の関心を集めている様子を見ていると、アクティビスムが前面に出ないパレードは、横浜に於いては正解なのだと思いました。

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②ダイバーシティという名称が持つ力

パレードの名称に、セクシャル・マイノリティの象徴である「レインボー」や「プライド」を使わなかったセンスは、今後続けていく上での強みになるのではと感じました。

「ダイバーシティ(diversity)=多様性」

という言葉に馴染みのない人はまだ多いかもしれません。しかし、色々な局面で使用されている状況を見ると、今後日本に浸透していくことは間違いないでしょう。

「レインボー」や「プライド」という言葉はセクシャル・マイノリティ(LGBTQI)を強く連想させます。だから分かりやすくていいという側面と、参加する人を限定してしまいかねないという側面があります。

セクシャル・マイノリティ当事者、アライを自認する人たち、アライというほどの意識はないけど楽しんでいる人たち、賑やかなことを好む人たち。YOKOHAMAダイバーシティパレード2016は、まさに「ダイバーシティ=多様性」を体現したような様々な人たちが揃ったからこその楽しさや居心地の良さが生み出されたのではないかと思います。

声高に権利を主張するのではないパレードのあり方に「ダイバーシティ」という考え方は、とてもフィットします。

この「ダイバーシティ」を象徴すると感じさせられたのは、Secret Guyzとそのファンの人たち(IKEINEと呼ばれています)なのですが、それに関しては別の機会にじっくり記そうと思います。

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③ステージのクオリティの高さ

YOKOHAMAダイバーシティパレード2016では、パレードの後にレストランクルーズ船「ロイヤルウィング」での船上アフターパーティーが開催されました。船内のバンケットルームで90分間のステージが繰り広げられました。

全国各地のパレードでも、その前後にステージイベントがあるのが当たり前になってきています。しかし、登場するパフォーマーのレベルは正直に言って玉石混交であることは否めません。

ところが今回の船上アフターパーティーに関しては、厳選されたキャスティングだと感じました。クルーズ時間の90分をフルに使ってのステージ・イベントで、かつパレード後にも関わらずスタンディングです。パフォーマーのレベルが低いと、観客のテンションがダダ下がりになってもおかしくない状況でした。しかし、90分があっという間に感じられるほど、ダレる部分が全くなかったことには驚かされました。

ステージに登場したのはこの5組。

Black Diamond(強め黒肌ギャルたちのパラパラ)

Air Line(初ステージとなる男女混合のボーカル&ダンス・ユニット)

最先端ガールズ(史上初の女装男子アイドル)

スティーブン・ヘインズ(マルチ・エンターティナー)

SECRET GUYZ(FtMアイドルグループ)

メインであるSecret Guyzのライブに向けて、徐々に盛り上がっていく構成が見事でした。この構成ゆえに、ラストまでダレることなく盛り上がったのだと思います。

前職のゲイ雑誌G-menの時代から25年近く各地のイベントを見てきましたが、今回の船上アフターパーティーのステージのクオリティは間違いなくトップ・クラスでした。

スティーブン・ヘインズ 撮影:ナカノタイスケ
スティーブン・ヘインズ
撮影:ナカノタイスケ
最先端ガールズ 撮影:ナカノタイスケ
最先端ガールズ
撮影:ナカノタイスケ

 

以上の3つが、YOKOHAMAダイバーシティパレードが持つ可能性だと感じた点です。
参加した人たちが「楽しかった」「参加してよかった」と心から思えるイベントはなかなかありません。YOKOHAMAダイバーシティパレード2016で歩いている人たちや、船上アフターパーティーに参加した人の楽しむ姿を見ていると、ポジティブな感想が口コミで広がっていくだろうと予想されます。

参加した人たちが口コミで広げていくポジティブな評判こそ、YOKOHAMAダイバーシティパレードが大きくしていく力になると思います。

今回の取材は2人のカメラマンに撮影協力してもらったので、たくさんの画像があります。その画像を、次回、たっぷり見ていただきます。お楽しみに。

 

YOKOHAMAダイバーシティパレード2016
〜みんな私はここにいます
日時:20161年10月15日(土)
主催:横浜ダイバーシティパレード実行委員/Gay Advocate japan
協力:Gay Advocate Japan/AQUX/IGLTA/一般社団法人日本インクルージョン総研/株式会社ロイヤルウイング/株式会社Nijiリクルーティング/ライフネット生命保険株式会社/株式会社マクサス/株式会社ブライダルプロデュース/株式会社マナカイラ/株式会社東急リゾートサービスグランデコリゾート/アートマリアージュ株式会社/LOVE PIECE CLUB/GLAMOROUS TOKYO

横浜港大さん橋国際客船ターミナル/一般財団法人節の会 日高山白寿苑/株式会社アウト・ジャパン/Out Asia Travel/株式会社PINK/株式会社エフネス/ホテルグランヴィア京都/Boutlque JTB/ホテル祖谷温泉/吉田山荘/ホテルパームロイヤルNAHA/京都トラベラーズイン/オテル グレージュ/L&G Timpani/Novia Novia/横浜レインボーフェスタ実行委員会

YOKOHAMAダイバーシティパレード2016公式サイト

 

TOP画像撮影:S.Koya

About itaru 24 Articles
元・月刊Gーmen編集長。LGBTQI(セクシャル・マイノリティ)に関わる様々な事柄を取材・分析して、誰でも分かりやすい平易な言葉でお伝えしていくことを使命と感じています。

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